第1期の活動



    『モダニズム研究』
 

 

■内容紹介(「序論」より)

周知のように、二十世紀の文学芸術はきわめて多彩 で、しかも変動のおおい展開を示し、同時にわれわれの社会文化生活におおきな影響をおよぼしてきた。二十世紀も終わりに近づいている今日、今世紀の文学芸術の出発点ともいえる欧米および日本の、二十世紀初頭に発生した「モダニズム」運動なるものをあらためて検討し、併せてその社会文化的側面 におよぼした影響を明らかにすることは、きわめて有意義と考えられる。

本研究は、この趣旨にしたがって、欧米および日本、さらには南米をも含めた、できうれば世界各国のモダニズムと称される文学と芸術の活動を、多角的に考察・検討しようとするものである。

 

 『モダニズム研究』
 モダニズム研究会編
 思潮社刊 1994年
 7800円
 
目 次

序論‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥濱田明

第一部 西欧モダニズムの形成と展開
■モダニズム前史
<モデルネ>の両義性と非同時性
  ――ドイツにおける<モダン>の概念をめぐって‥‥‥‥‥大石紀一郎

■エスプリ・ヌーヴォーとフランス・モダニズム
<距離>の錯乱――モダニズムと写真の経験‥‥‥‥‥‥‥‥‥井上明彦
モダニズム――その図柄と装飾と‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥稲賀繁美
ピエール・ルヴェルディとキュビスム詩言語‥‥‥‥‥‥‥‥‥大平具彦
レーモン・ルーセルと「科学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥小畑精和
モダニズムとエスプリ・ヌヴォー
  ――アポリネールの美術評論に見る「新しさ」の概念‥‥‥三好郁朗

■イタリア未来派
マリネッティの詩法(試論)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥米川良夫
アヴァンギャルドの桎梏
  ――マッシモ・ボンテンペッリと未来主義‥‥‥‥‥‥‥‥和田忠彦

■ドイツ表現主義
言語危機論 序説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥河中正彦
<反建築>としての<バウエン>
  ――ドイツ・モダニズム建築の根源‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥田中純
ゲオルク・ハイムの位置――初期表現主義詩人‥‥‥‥‥‥‥‥吉本健一

■西欧モダニズム運動とダダ
「ダダはモダンではない」か
  ――未来主義とダダイズムの図式的対比‥‥‥‥‥‥‥‥‥濱田明

第二部 モダニズムの世界的展開
■ロシア
至高の有機体――ロシア未来主義をめぐる四つの断章‥‥‥‥‥亀山郁夫
革命と「文学の自律」――ザミャーチンとロシア未来主義‥‥‥西中村浩

■東欧諸国(ポーランド、チェコ)
越境するダダイスト
  ――Witold Gombrowicz(1904〜1969)‥‥‥‥‥‥‥‥西成彦
レシミャンの手紙に見る「ポーランド・モダニズム」‥‥‥‥‥長谷見一雄
両大戦間チェコのアヴァンギャルドと構造主義‥‥‥‥‥‥‥‥石川達夫
匿名たちの受容――「群集」と「視覚詩」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥奥野路介

■イギリス、アメリカ
『パタソン』とイデオロギー‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥江田孝臣
リアリズムの変容について――ジョイスとスタインの場合‥‥‥加藤光也
ブリティッシュ・アヴァンギャルド
  ――未来主義とヴォーティシズム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥三宅昭良
アレンズバーグ・サークルとニューヨークのモダニズム
  ――「アメリカ的なるもの」を求めて‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥村田宏

■ラテンアメリカ、スペイン
ラテンアメリカのモダニズム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥木村榮一
メキシコ近代詩の流れ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥安藤哲行
ウルトライスモ――スペインのアヴァンギャルド‥‥‥‥‥‥‥坂田幸子

第三部 日本におけるモダニズム
日本のモダニズム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥澤正宏
日本モダニズムの再定義
  ――1930年代世界文脈のなかで‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥エリス俊子

第四部 シンポジウム
モダニズムの言語/モダニズムの思想/モダニズムと政治/モダニズムと現代

執筆者略歴
あとがき‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥濱田明
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